『アジャイル開発とスクラム』を読んで

遅ればせながら、『アジャイル開発とスクラム』を読みました。 DevSum2013でも売られていたのですが、なんだかんだで今頃になってしまいました。

はじめにで、"ユーザ企業の情報システム部門の方にも"と書かれていましたが、今まで読んだAgile本と比べ情報システム担当が読んでぐさっとくる本でした。
特に、第2部の実践事例はとても面白い内容で、富士通事例はユーザ企業の情シスが抱えている問題点や課題にスクラムでどう対応したのかが語られていてとても参考になりました。リクルートの事例に出てくるQCDのQを高くすることは出版業界だけでなく製造業全般(特に日本)のスタイルだなぁと思います。どうしても一度出してしまったものを修正できないシステムの中ではQを高めることが全てに優先されるべきなのだと思います。

そういう意味で、製造業系の多くの人や仕組みがアジャイル開発を気持ちや制度的に”中途半端なものを提供する”とどうしても捉えがちなのかなと感じました。 やはりドキュメントや人による隅々までのテスト、品質チェックが”安心”を生むというのは、なかなか変えにくいのだと思います。 安全はいくらでも自働化でできたとしても安心度を高めることが、情シスの現場が頑張っていかなければならないことなんだと思います。日本の製造業はQCがとくに優れていると言われてきましたが、形式的になりがちなQCを本来のQC型にしていく、柔軟にしていくことが現場に求められているものだと感じました。

おわりにで、書かれていた合宿による解決については平鍋さんが何かのカンファレンスで話されたのを思い出しました。それくらい私の中でも組織の本質なんだろうなという思いがありました。 考えてみると町内会の集まりって、とても面白い集まりだなと思います。いろんな技術や知識を持っている人が集まって町を良くしていく。お酒などの催しもあってみんな主観を言い合って、みんなで主体的に動く。とても日本的で組織の本質を持っているのではないのかなと思いました。

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

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